Kruijt, A. W., Parsons, S., & Fox, E. (2019). A meta-analysis of bias at baseline in RCTs of attention bias modification: no evidence for dot-probe bias towards threat in clinical anxiety and PTSD. Journal of abnormal psychology, 128(6), 563.
背景:脅威に向けられる注意の減少を通した治療効果を理論的基盤に置く不安症の治療のためのABMの開発には、膨大なコストがかけられている。しかし、臨床的不安症が脅威に関連づけられたバイアスによって特徴づけられるというメタ分析によるエビデンスは薄い。337名の不安症者のドットプローブ課題のデータはこれまで最大のメタ分析に含められている。しかしABMのRCTのベースラインで得られた注意バイアスのデータはこれまでメタ分析されていない
方法:13個のABMのRCT研究に参加した不安症患者1005名のベースラインの脅威と関連したドットプローブ課題の指標をメタ分析に投入した。
結果:ランダム効果メタ分析は平均バイアスがゼロとは異なるという証拠を示さなかった。追加のベイズファクター分析もまたバイアスがゼロであるという仮説を支持した。一方、インターバルに基づいた分析は臨床的不安症の平均バイアスは0msから5msであることが示された。
考察:本研究の知見は、サンプル数の多さと発行バイアスの回避という点で強みがあり、コントロールとの比較がなく、データの再利用であること、ドットプローブ課題のデータのみを用いているという点で弱いこと、理論的及び臨床的文脈で議論された。我々は、もはや臨床的不安症の人々が脅威に対する選択的注意によって特徴付けられるとは言えないと提議する。
結論:ABMのRCTに参加した不安症の人々は、ベースラインにおいて脅威に関連した注意バイアスによって特徴付けることはできない。
感想:インターバルベースの分析とは、不安者の注意バイアスがどれくらいありそうかをms単位で分析し、バイアスが0-5msが最も信頼できるバイアスの程度であることを示している。実体験と符合するメタ分析の結果である。少なくとも自分が行った不安のアナログ研究では、注意バイアスの測定によってバイアスが示されたことはほぼ無い。これは課題のパラメータや教示、分析のレベルの問題では無いと思っている。自分の研究では少なくとも不安に関しては注意バイアスを扱う研究には慎重になろうと思う。