2012年2月23日木曜日

MRI中のセッション内、セッション間の主観的ストレスと神経内分泌ストレスパラメータの変化:スキャナートレーニングのコントロール研究

Within and between session changes in subjective and neuroendocrine stress parameters during magnetic resonance imaging: A controlled scanner training study 2012 Psychoneuroendocrinology

MRIスキャナーがストレッサーとして機能し、主観的、内分泌的ストレス反応を喚起するというエビデンスが蓄積している。被験者をスキャナーになじませるアプローチは予定していた神経活動に対する意図しない影響を最小化出来る。しかし、スキャナートレーニングの効果に関するコントロールされた研究はない。比較研究デザインを用いて、2日間にわたるMRI内、モック、研究室環境におけるトレーニングに参加した3群の63人の健常者のセッション内、セッション間の主観的ストレスと神経内分泌ストレスを解析した。馴化課題はセッション内の主観的ストレスと内分泌ストレスの変化を評価するために行った。セッション間の変化は2日間の変化によって示された。研究室環境では見られなかったが、MRIとモックによるトレーニングはスキャナーに対する主観的苦痛を低減させた。対照的にコルチゾールの反応は2日目には全般的に増加しており、コルチゾールの反応が見られた被験者はMRIとモック内で特に増加していた。主観的覚醒と主観的不安のセッション内の馴化は条件に関わらず観察された。本研究の結果はスキャナー環境でのトレーニングは主観的苦痛の低減に成功するが、スキャンの繰り返しによって内分泌ストレスレベルの感作を引き起こすことを示唆した。主観的苦痛はMRIの前に被験者を馴れさせることで調整できる。この結果が追認されるのであれば、被験者を繰り返しMRI測定するデザインを計画する研究者にとって考慮すべき結果を示している。

2012年2月8日水曜日

うつ病は快画像の報酬よりも金銭的報酬による報酬系の活動によって特徴づけられる

Major depressive disorders is characterized by greater reward network activation to monetary than pleasant image rewards. 2012 Psychiatry Research: Neuroimaging

報酬に対する意欲や快感情の喪失であるアンヘドニアは大うつ病性障害の特質である。多くの研究は報酬の予期と提示時に前頭前野ー線条体の機能障害を同定している。しかし、今日まで金銭と快画像のような形式の異なる報酬の違いをうつ病において検証した研究は無い。そこで我々は金銭的報酬と快画像に対するうつ病患者の神経反応を検討するため、修正MID課題を用いて金銭報酬と快画像報酬の予期と提示時における脳活動をfMRIで測定した。被験者は9人のうつ病患者と13人の健常者であった。うつ病患者は金銭的報酬の予期において眼窩前頭前野と梁下野の活動減少が見られ、快画像の予期においては帯状回と補足運動野の活動減少が見られた。うつ病患者は金銭的報酬と快画像の予期野比較において健常者よりも尾状核の活動増加が見られた。結果からは報酬の予期におけるうつ病患者の報酬系の活動の減少と快画像に対する活動減少が示唆された。

前から思っていたが、うつ病の報酬系の機能低下を金銭的報酬で行うことが果たして病態と一致しているだろうか?健常者における報酬系の神経活動の測定には適していると思うが、モダリティと被験者の特性によって何が報酬や罰になるかは様々な組み合わせがあるように思う。
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