2011年1月26日水曜日

前帯状回および内側前頭前野における感情処理

Emotional processing in anterior cingulate and medial prefrontal cortex. Etkin, T Egner,A Trends in Cognitive Sciences, 2010
消去手続き1日目の背内側前頭前野と背側前帯状回の活動は、消去の過程よりも消去手続き1日目のCSに伴う恐怖の表出(恐怖の獲得ではなく)と関連していると考えられる。腹内側前頭前野と腹側前帯状回の活動は消去手続き開始1日目から2日目にかけて持続しており、これらの領域は扁桃体の機能抑制にともなう恐怖の制御に関連している。

情動処理におけるMPFCとACCの領域による機能の違いをこれまでのヒトを対象とした恐怖条件付けあ情動関連の脳機能画像研究から論じている。Bush et al 2000で言われているように背側が認知で腹側が感情というこれまでの見解と真逆の議論だが、これまでの情動関連の研究や気分障害を対象とした研究でもこのレビューと一致した結果が報告されているのを散見する。情動処理の議論に有用なレビューだと思う。

2011年1月13日木曜日

NIRSによるう診断についてのNatureに掲載された批評

Neuroscience: Thought experiment
Japanese hospitals are using near-infrared imaging to help diagnose psychiatric disorders. But critics are not sure the technique is ready for the clinic.

後輩が教えてくれた情報。この批評によると、NIRSを用いたうつ病と双極性障害の鑑別は時期尚早ではないかと述べられている。わざわざ著者がNIRSを体験したようで、自分のデータは健常者と言われたが、健常者よりもうつ病や双極性障害のパターンに近かったと述べている。この批評では他の研究者のコメントを引用してNIRSはまだ研究手法としてのみ有用であり、臨床で鑑別診断を行うことはまだ難しいのではないかということや、もともと日本で先進医療として適用になったときの評価委員会でも研究データのサンプルが少ないことなどが批判されたが、推進派の声が大きく採用されたと述べられている。
自分もNIRSを使っていたが、NIRSはかなりデータの信頼性や解釈の仕方が難しいと思うし、こういったNeuroimagingの手法を臨床応用するという考え方自体あまり将来性がないと感じている。ただ、この批評自体はデータを挙げて反論しているわけでもないので、説得力はそれほどないように思う。
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