2013年9月14日土曜日

高不安群における脅威と関連した注意の切断の社会的制御


The social regulation of threat-related attentional disengagement in highly anxious individuals 2013 frontiers in Human Neuroscience

ソーシャルサポートは高不安群のストレス反応を正常化すると思われるが、社会的文脈における不安反応の研究は少ない。我々はソーシャルサポートと脅威に対する神経反応のつながりにおける状態不安と特性不安の役割を検討した。我々は、3条件(単独、他人の手を握る、友人の手を握る)の元で電気ショックの脅威にさらされた被験者にfMRIパラダイムを適用した。我々は特性不安と脅威条件で視床下部、被殻、中心前回、楔前部における交互作用を見いだした。さらに特性不安高群は単独条件でこれらの領域の賦活が低下していた。この活動パターンは高強度の脅威の知覚と関連した注意の解放を示唆している。これらの知見は先行研究で示唆されている、高不安群は中程度までの不安に強く反応し、逆説的に高強度の不安に対する反応が弱いという知見を指示しており、不安と脅威に対する不安の間に逆U字の関係性があることを示唆している。我々は、高不安群は単独条件で高強度の脅威にさらされると注意の解放が生じており、他者の手によってその知覚が感割られると推測した。この注意の解放は、高不安群が高強度の脅威にさらされていると近くされいるときに見られ、それは社会的接近によって軽減すると思われる。これらの結果は不安群における情動反応の制御における社会的サポートの役割を示唆している。

脅威状況における生理的反応が測定できていないので、脳活動と体験としての不安の関連は曖昧なところもある。特性不安と脅威の程度の交互作用が脳活動にどのように現れるかを説明した図は分かりやすかった。

2013年9月5日木曜日

感情の認知的再評価:人を対象とした脳画像研究のメタ分析


Cognitive Reappraisal of Emotion: A Meta-Analysis of Human Neuroimaging Studies
Jason 2013 Cerebral Cortex

近年、情動的インパクトを変容するために刺激に対する評価の仕方を変える、認知的再評価の脳画像研究が爆発的に増えている。現存のモデルは、認知的再評価が扁桃体の情動的反応を調整する前頭前野や頭頂領域に関与することで一致しているが、どのようなプロセスで扁桃体を調整するかは競合した意見がある。一つの意見は、腹側内側前頭前野がコントロールしており、消去に関与するため扁桃体が抑制されるというものである。別の意見は、意味表象に関わる外側側頭皮質が間接的に扁桃体を抑制するというものである。さらに、先行研究が扁桃体の役割を重要視しているにもかかわらず、認知的再評価においては未知の情動領域に関わるというものもある。これらの疑問を解決するために、ネガティブ情動の低減を目的とした認知的再評価の論文48個をメタ分析した。認知的再評価は一貫して、1)認知的コントロール領域と外側側頭皮質を活性化させたが、腹側内側前頭前野は活性化が見られず、2)両側の扁桃体を調整していた。この結果は、認知的再評価は情動刺激に対する意味表象の変化を通して認知的コントロールをしており、その結果扁桃体の情動反応が調整されていることを示唆している。

ちょっとした間に重要な論文がいくつも出ていた。NeuroElfという解析パッケージを使っていたのが興味深い。このメタ分析で認知的再評価は腹側内側前頭前野の賦活が一貫していないという結果がでたことは非常に大きい。認知的再評価が操作としてどれくらい上手くいったのか、刺激のモダリティ、認知的再評価の方略によって変わりそうな気もする。
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