2017年3月24日金曜日

DCMを用いた感情ラベリングの理解の進展

 (2013). Advancing understanding of affect labeling with dynamic causal modeling. NeuroImage82, 481-488.

偶発的な感情制御のフォームのメカニズム的理解は感情科学における基礎的応用的研究への示唆を与える。本研究では、fMRIのDCMを表情ラベリングパラダイムに用いて前頭前野から皮質下への影響を検討した。感情ラベリングにはvlPFC、amygdala、ブローカ領域を含む4つの領域を用いた。64個のモデルを45人の健常者を対象に検討した。32個のベイズモデルでは強固な内在的なネットワークの結合性がしめされた。ラベリングの調整効果は、ブローカ領域からamygdalaまたはそれよりも強いvlPFCからamygdalaへの抑制効果を示すベイズモデル平均において強固に観察された。これらの結果は、これまでに相関関係で示されていた皮質ー皮質下領域の負のカップリングを頑健かつ拡張する知見である。

感情ラベリングのメカニズムを考えるうえで非常に重要な知見。実際に自分でもやるべきだと思っているが、なかなか進まないのが残念。

2017年3月23日木曜日

知覚された道徳への脅威が引き出す汚染関連強迫行為の傾向

Threats to moral self-perceptions trigger obsessive compulsive contamination-related behavioral tendencies
Doron, G., Sar-El, D., & Mikulincer, M. (2012).  Journal of behavior therapy and experimental psychiatry, 43(3), 884-890.

汚染恐怖に関連した強迫は日常生活を著しく害する。本研究では知覚された道徳に対する脅威が、汚染関連強迫行為の傾向を生起させるかを検討した。
3つの実験により、道徳関連プライミングが汚染関連行動に及ぼす影響を検討した。
自己の道徳における不適格は、強迫行為の傾向上昇を導いた。この影響は、自己に関連したネガティブな情報に限定された。この知見は、事前の自尊心やストレス、不安、抑うつおよび気分の変動性とは関連しなかった。
本研究は非臨床サンプルに対して行われた点で限界がある。
道徳的な過敏性は、汚染と関連した恐れと因果関係があるだろう。この過敏性に対する治療は、強迫性障害の治療にも有用かもしれない。

この論文の研究者は数年前から愛着との関連も検討しながら、このテーマで研究をしている。実験手続きでは、被験者自身の道徳的態度が一般母集団と比較して低い(カバーストーリーだが)ことを正規分布でプライミングしている。
非常に興味深いが、いかにも実験社会心理学的研究でもある。
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