2010年5月28日金曜日

セロトニン受容体遺伝子多型は気分制御中の扁桃体の活動を調整する

Seth J. Gillihan, Hengyi Rao, Jiongjiong Wang, John A. Detre, Jessica Breland, Geena Mary V. Sankoorikal, Edward S. Brodkin and Martha J. Farah 2010 Serotonin transporter genotype modulates amygdala activity during mood regulation. Social Cognitive Affective Neurosciences, 5(1):1-10.
近年の研究はうつ病の脆弱性においてセロトニン受容体(5-HTTLPR)のShort alleleが関連していることを示唆しており、特にストレスの文脈において顕著である。いくつかの脳機能画像研究は5-HTTLPRの遺伝子多型はネガティブ刺激に対する扁桃体の再活性を予測し、Short alleはうつ病のリスクを示している。本研究は5-HTTLPRの遺伝子多型がSad mood誘導時と誘導後の回復において同様に神経活動に影響を与えるかどうか検討した。被験者は15人のShort Homozygous(S)と15人のLong Homozygous(L)であった。脳血流はPerfusion fMRIで測定した。ベースライン、Sad mood、Sad moodの回復、その後のベースラインの4ブロックを設定した。ベースラインと比較して、Sad moodの回復のときには扁桃体の活動はS群で大きかった。Sad mood誘導時には差が無かった。これらの結果はS alleleの気分の制御における扁桃体に対する影響と気分の回復における扁桃体の過活動がうつ病のリスクを高めるS alleleのメカニズムの一つであることを示唆している。

2010年5月27日木曜日

恐怖の消去、逆転学習、制御を媒介する重複した神経システム

Schiller Delgado 2010 Overlapping neural systems mediating extinction, reversal and regulation of fear Trends in cognitive sciences
学習された恐怖は、環境と恐怖が予期される状況との間の手がかりの連合を即座に発見する過程である。しかし、環境の変化に伴う適応機能は、この学習を即座に更新することを生体に求め、もはや恐怖が予想されないときには恐怖反応を抑制することができる。我々は、恐怖条件付けを抑制する消去、逆転学習、制御といった3つの方略に焦点を当て、その神経システムをレビューした。これらの方略を適用した3つの個別の研究を直接的に比較し、人の脳に重複した構造があることを見いだした。この回路は、課題にかかわらず柔軟に恐怖をコントロールすることができると考えられる。
重複した領域とは線条体と腹内側前頭前野である。これらの領域は課題にかかわらず活動が変化する。線条体は報酬と罰に関わらず学習の過程そのものに関与すると考えられる。内側前頭前野は扁桃体に対して抑制を掛けるため、課題にかかわらず活動すると考えられる。
SVM等でパターン分析を重複した神経システムにやると良いのではないか?

2010年5月19日水曜日

気逸らしと認知的再評価の神経基盤

Kateri McRae, Brent Hughes, Sita Chopra, John D. E. Gabrieli,James J. Gross, and Kevin N. Ochsner 2010 The Neural Bases of Distraction and Reappraisal Journal of Cognitive Neuroscience 22:2, pp. 248–262

気ぞらしと認知的再評価は2つの共通した認知的感情制御の方略である。脳機能画像研究は、これらがそれぞれ認知的制御に関与する前頭前野と感情反応を媒介すると考えられている辺縁系の交互作用によるものであることを示唆している。しかし、これまで直接的に気ぞらしと認知的再評価を比較した研究はなく、これらら異なる神経メカニズムや感情の結果をもたらすかは不明瞭である。本研究は気ぞらしと認知的再評価を検討し、共通点と相違点を見出した。双方ともネガティブ感情や扁桃体の活動の減少と前頭前野と帯状回の活動上昇がみられた。気ぞらしと比較して、認知的再評価はネガティブ感情を減少させ、感情と関連した脳領域の活動増加がみられた。認知的再評価と比較して、気ぞらしは扁桃体の活動減少と前頭前野と頭頂領域の活動上昇がみられた。これらの結果は気ぞらしと認知的再評価は注意や認知に関与する神経システムが異なっており、その結果感情の結果も異なることを示唆する

2010年5月17日月曜日

今年のプレミアリーグの感想

今期はチェルシーが優勝した。どのポジションにも安定感があり、実力のある選手がいたと思う。上位のチーム以外との対戦では、まるで大人と子どもが戦っているような空しさすら感じさせる強さだった。得点王を取ったドログバは圧倒的なフィジカルと決定力があり、彼に太刀打ちできるDFはいないような凄みがあった。ただ、自分はチェルシーのサッカーのスタイルはあまり好きではない。圧倒的な力があるだけに、簡単に相手を崩すことができてしまい、あっけなさを感じさせるからだ。それはマンチェスターユナイテッドにも共通している。今期はルーニーが本来持ち合わせていた得点力を遺憾なく発揮していたが、彼らの力も頭抜けていてサッカーの工夫という点では興味を惹かれなかった。そういう点では、やはりアーセナルのように、若くてまだまだ優勝するには力が充分ではないチームは相手を崩すために様々な工夫があり、スタイルがある。アーセナル以外ではトットナムも良かったと思う。徹底したサイドアタックと早い攻撃、激しい守備には熱くなった。自分は完成したチームよりもチームが強くなっていく過程に惹かれるのだろうと思う。来期はアーセナルにはシャマフが入るという話もあるが、ファンペルシーしかプレミアで通用するCFがいないので、しっかりとしたCFが獲得できればさらに強くなれるのではないだろうか。一方で、フェルマーレンが加入したものの、相変わらずDFはいまいちだったが。来期はさらに期待高めて観戦したい。

2010年5月2日日曜日

統合失調症に対する認知矯正療法のメタ解析

McGurk et al 2007 A meta analysis of Cognitive Remediation in schizophrenia. America Jouranal of Psychiatry 164:12,1791-1802.
目的
本研究では認知矯正療法が統合失調症における認知機能、症状、心理社会的機能に及ぼす効果について評価した。
方法
メタ解析に26本の認知矯正療法のRCT、1151人の患者を含めた。
結果
認知矯正療法は認知機能に対して中程度の効果サイズ、心理社会的機能に小程度の効果サイズ、症状に対して小程度の効果サイズを示した。認知矯正療法の効果は精神科リハビリテーションを加えた場合に心理社会的機能に対してより効果的であることが示された。
結論
認知矯正療法は認知機能に対して有効であり、機能的側面もまた改善が見込めるだろう。
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