2013年11月30日土曜日

どのように忘れるかはどのように覚えているかに依存している

How we forget may depend on how we remember 2013 Trends in Cognitive Sciences

近年の研究の発展は海馬に依存した記憶は相対的に妨害に対する抵抗性があり、減衰には敏感である事を明らかにしている。海馬は記憶の早期に不可欠であり、記憶の形式は時空間的文脈における学習した事項の復帰に関わっている。その他の記憶の形式は親密性として知られているが、文脈的な記憶の復帰には関わらず、学習された事項の熟知感に関わる。親密性は外海馬構造に依存しており、妨害に対する抵抗を促進するような機能は持たない。これらの事は忘却の原因が記憶の性質に依存するという新しい仮説を導く。つまり、想起に依存した記憶は妨害よりも減衰に弱いが、親密性に依存した記憶はその逆である。このレビューはこの仮説を支持する証拠を示す。

恐怖記憶との関連で考えると興味深い。恐怖記憶は海馬依存の記憶なので妨害に対しては強いが、減衰しやすいと考えると消去によって変質されやすい記憶なのだろう。恐怖の文脈記憶の忘却を促すには減衰を促すだけでなく、記憶の構造的変化をも促せれば良いのだが。たまには基礎的な情報を入れて新しいことを考えられるようにしたい。

2013年11月25日月曜日

認知的感情制御の神経ネットワーク:ALEメタ分析とMACM分析

Neural network of cognitive emotion regulation — An ALE meta-analysis and MACM analysis 2013 Neuroimage

情動の認知的制御はウェルビーイングや精神病理学にインパクトを与える社会的機能と相互作用する基本的な根本要素である。この過程の神経基盤は近年積極的に研究されているが、一般的な共通理解は得られていない。我々はALEを用いて認知的情動制御の論文(23論文/被験者479人)を量的に要約した。加えて、我々は量的な機能的推論とメタ分析的結合性モデリング(MACM)を用いて特的の領域とその領域との相互作用に寄与する特的の機能的結合性を検討したそのために、我々は情動反応の制御に関わる中核的な脳ネットワークのモデルを開発した。これに基づいて、上側頭回、角回、補足運動野が前頭領域によって駆動されて情動制御の遂行に関わることを明らかにした。背外側前頭前野は注意のような認知的過程の制御と関連しているが、腹外側前頭前野は情動制御そのものには必ずしも必要でなかったがシグナルの顕著性に関わるので制御に必要であることが明らかになった。我々は解剖学的にも機能的にも行動に影響し皮質下組織に影響する独立した位置にある中前帯状回のクラスターが情動の生起に関与することを見いだした。従って、この領域は情動制御において中核的で統合的な役割を持つと考えられる。複数の研究にまたがる領域の活動に注目することで、このモデルは精神疾患における情動制御の障害のアセスメントにおける重要な情報を提供するだろう。

MACMという機能的結合性までメタ分析できるツールがあるとは知らなかった。論文見る限りでは、他の論文で指摘されているその領域の機能から神経ネットワークの方向性を推定しているようだが・・。

2013年11月2日土曜日

チョコレートに対する注意バイアスはチョコレートの消費を増加させるー注意バイアスの修正研究



Attention bias for chocolate increases chocolate consumption - An attention bias modification study 2013 Journal of Behavior Therapy and Experimental Psychiatry

本研究はチョコレートの摂取と隠されたチョコレートを探す動機付けにより飢餓感を増加させる食べ物の手がかりに対する注意バイアスを実験的に操作して検討した。後続するチョコレートの接収に対する注意の効果を検討するため、新規注意バイアス修正課題(アンチサッケード課題)の最中にチョコレートに対する注意を、チョコレートに注目するか食べ物でない刺激に注目するか被験者に教示することによって修正した。チョコレートの消費は、飢餓感の変化と隠されたチョコレートの探索時間によって評価した。眼球運動の記録は媒介効果を検討するために実験的注意修正課題の最中の精度をモニターするために用いた。回帰分析は注意修正効果とチョコレート摂取や飢餓感、隠されたチョコレートの探索動機に対する修正の正確性の効果を検討するために行われた。結果からは、+1SD以上の高い正確性を示した被験者はチョコレートに対する注意を向けたときに、チョコレートをより摂取し、食べ物でない刺激に注意を向けたときは摂取は少なかった。対照的に正確性が-1SD以上少ない被験者は逆の結果になった。飢餓感の修正や隠されたチョコレートの探索時間の操作は影響が見られなかった。今回はチョコレートを刺激に用いたが、他の食物でも同様の効果が見られるかは一般化できない。これらの結果は食物に対する注意と食物の摂取のつながりに更なる証拠を与える物である。

アンチサッケード課題とは、刺激が提示された方向とは逆の方向を注視する課題である。ちょっと面白いので、この研究のことは覚えておこう。
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