2012年11月28日水曜日

マインドフルネス:トップダウンの情動制御かボトムアップの情動制御か?

Mindfulness: Top-down or bottom-up emotion regulation strategy? 2012 Clinical Psychology Review

マインドフルネスの臨床的に有用な効果は実証的検証の指示が増えつつある。しかし、マインドフルネスの効果の背景にある神経メカニズムは完全に検証されてはいない。幾人かの著者はマインドフルネスをトップダウンの情動制御方略と記述するべきであると提案しているが、他にはボトムアップの情動制御方略と記述するべきであると提案している。この乖離はマインドフルネスの記述と適用方法の多様さに由来する。本レビューではマインドフルネスの現在のマインドフルネスの記述と、マインドフルネスと従来の情動制御方略との関係性を議論することが目的である。近年の情動制御の文脈でマインドフルネスを検討した脳機能画像研究からの結果が呈示されている。我々はマインドフルネスは短期間のトレーニングではトップダウンの情動制御と関連しており、長期間のトレーニングではボトムアップの情動制御と関連していると提案する.現在のエビデンスの限界と将来の研究についての提案議論する。

英語ネイティブが書いたもので内政か、英語が言葉足らずな気がする論文。認知療法学会でマインドフルネスの事例発表をされていた方との議論になった点がテーマになっていたので良かった.とはいえ、この点に関しては実証的な実験が少ない。

2012年11月22日木曜日

認知行動療法は全般性不安障害における恐怖の連合を解消する


Cognitive-behavior therapy resolves implicit fear associations in generalized anxiety disorder 2012 Behaviour Research and Therapy


認知スキーマ理論は不安障害は記憶と恐怖の連合と関連していると仮定する。全般生不安障害においてネガティブな心配語(例:癌)に対する潜在的なネガティブ評価を示すだけでなく、中性語(例:診断)においてもその影響が汎化することが示されている。本研究は、精神病理学的な記憶構造の指標として理解されているこのバイアスのCBTに対する感受性を評価した.extrinsic affective simon taskを用いて、全般性不安障害患者23名と健常者25名を対象に中性語とネガティブ心配語の特質との潜在的連合を測定した.患者はCBT前後にテストを行い、患者の半分は治療待機中に追加でテストを行った.臨床症状は治療前後と6ヶ月後のフォローアップで測定した。CBTは中性語に対するバイアスを正常化し、このバイアスの治療中の減少は6ヶ月後のフォローアップにおける症状の改善を予測した.さらに、治療前のバイアスはCBTに対する反応性を予測し、低いバイアスは治療集結に置ける短期的な症状の改善を予測し、高いバイアスは6ヶ月後の遅延した治療効果を予測した.中性ターゲットに対する潜在的な評価バイアスは、GADの永続的な脆弱性因子を示さなかったが、状態としての不安のレベルの高まりと関連していた.さらに、このバイアスの正常化はCBTの治療機序におけるきわめて重要な要因であることが示された.

extrinsic affective simon taskはプログラムが公開されているようだが、ダウンロードしても起動しなかった…。

2012年11月19日月曜日

感情を言葉にする:曝露療法に対する言語の寄与

多くの研究が情動にラベル付けすること、感情を言葉にすることが認知的再評価や気ぞらしのような情動制御方略の形式で情動を下降制御するために有用であることを明らかにしている。我々はこの基礎研究の知見を、クモ恐怖の曝露場面という実際の臨床場面に適用した.群間比較デザインを用いて、我々は曝露中の恐怖刺激に対する情動のラベル付け、認知的再評価、気ぞらし 、曝露のみの効果を比較した。1週間後のポストテストは異なるクモの刺激を違う文脈で呈示した。情動のラベル付けの群はSCRの減少が他の群と比較してみられ、気ぞらしよりも接近行動が見られた。しかし、主観的な恐怖は他の群と比較して異なることは無かった.加えて、曝露に置ける恐怖や不安の使用頻度は恐怖反応の低減と関連していた.よって、驚くべきことに情動のラベル付けは臨床の文脈においても情動の制御の助けとなるであろうことが示された.

情動のラベル付けによるSCRの低減が大きすぎる気がするが。とはいえ、CBTの効果は認知的再評価のような複雑な要素だけではなく、セルフモニタリングや面接を通してネガティブ情動を言語化するというごくシンプルな要素もあるということか。情動を言語化するというプロセスが情動記憶をどのように変容させるのか解明されると良いと思う.

2012年11月2日金曜日

全般性不安障害とパニック障害の情動制御遂行中の前頭皮質機能障害

Prefrontal dysfunction during emotion regulation in generalized anxiety and panic disorders. 2012 Psychological Medicine
不安障害における情動の制御障害のメカニズムはほとんど理解されていない。そこで、GADとPDにおいて情動制御遂行中の前頭皮質が不活性であることによって特徴づけられるという仮説を検証した。競合する仮説としてGADでは逆に前頭皮質が過活動であるという仮説も検証した。これは過剰なトップダウン制御を反映している。
22に人の健常者、23人のGAD患者、18人のPD患者はネガティブ画像に対する認知的再評価と維持を要求される課題を行い、fMRIの測定を行った。
GAD患者は日常生活におけるに認知的再評価の使用が最小であることが報告され、それは不安症状と機能的障害と負の相関を示した。fMRIの測定の結果から、健常者は認知的再評価と維持のいてどちらも患者らよりも前頭皮質の高い活動を示した。さらに、不安障害の患者では認知的再評価における外側前頭皮質と内側前頭皮質の活動は不安症状と機能的障害と負の相関を示した。GADとPDにおける情動制御障害は前頭皮質の活動低下の結果によってもたらされ、それはトップダウン制御の不足と一致する。前頭皮質と機能障害の相関は、情動制御における前頭皮質の失敗が高不安から不安障害への変遷の一部であることを示唆している。

自分の仮説を指示する研究だが、先を越された感は否めない。
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