Bottom-up and top-down emotion generation: implications for emotion regulation. 2012 Social Cognitive and Affective Neuroscience.
感情制御は適応的機能において重要な役割を持ち、蓄積された知見からは情動制御方略によっては他のものよりも有効であることが示唆されている。しかし、ボトムアップ(刺激の知覚的な特性に対する生得的な反応)とトップダウン(認知的評価に対する反応)の異なる情動生成の方略についてはほとんど注意がはらわれていない。プライミングの原則に基づいて、我々は情動制御のモードは情動制御に後続と交互作用すると予測した。特に、我々はトップダウンの情動生成はトップダウンの制御方略を用いる方がボトムアップの情動制御を行うよりも有効であると予測した。この仮説を検証するために、我々はボトムアップとトップダウンの情動を生成して被験者に認知的再評価によってその情動を低減するように教示した。我々はた情動反応の2つの尺度において生成と制御の予測された交互作用を見出した。自己報告の感情の測定ではボトムアップの情動の生成よりもトップダウンの情動生成においてより認知的再評価が成功した。神経活動は、ボトムアップ情動生成の認知的再評価は逆説的な扁桃体の活動増加がみられた。この高度作用は情動生成のモードと後続する情動制御の交互作用が情動制御の様々なタイプの効果を比較するときに考慮すべきであり、同様に異なる臨床的な障害に介入する時に認知的再評価を用いるときも同様に考慮すべきである。
情動反応が生じる過程によって情動制御方略の有効性が異なり、神経活動にも反映されるという個人的に大きなインパクトがある論文だった。恐怖のようなボトムアップの情動と反芻のようなトップダウン的に生成される情動では、効果的な情動制御方略が異なるのだろう。これは臨床場面においても重要な問題であると思うが、トップダウンの情動とボトムアップの情動を同列に扱うことは困難だとも考える。主観的な情動反応はトップダウンの方が大きいが、末梢の生理反応でも調べてみたいところ。
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