2012年10月16日火曜日

曝露療法は恐怖プロセスの神経活動の長期的な再体制化を引き起こす

Exposure therapy triggers lasting reorganization of neural fear processing 2012 PNAS
1セッションの曝露療法は、脅威となる事象に対する強固で不自由な恐怖を消去できる。我々はこの驚くべき成果の神経メカニズムを2時間の治療の結果変化した脳活動を測定することで検討した。治療の前に、脅威画像は扁桃体、島、前帯状回の活動を引き起こした。治療は、これらの恐怖感受性ネットワークの反応を減衰し、随伴して前頭前野領域の活動を高めた。6カ月後、恐怖ネットワークの活動の減衰は持続したが前頭前野の活動はみられなかった。加えて、視覚野の活動の程度の個人差は6カ月後の治療結果を予測した。この時の視覚野の活動は脅威画像に対する反応の減衰と相関していた。治療の成功は、当初の恐怖刺激に対する神経活動の再体制化の持続を伴っている。この効果は動物モデルにおいて同定されている恐怖-消去メカニズムとリンクしており、不安障害の治療と予防の新たな展開を導くものである。

非常にチャレンジングな研究である。脳は環境と生体の相互作用のインターフェースとなる基盤である。恐怖や消去のメカニズムは、動物モデルや人体における神経メカニズムの解明によって、将来治療法の開発が大きく進むと考える。つまり、恐怖の消去は脳の機能を変えることであり、その脳の機能を変えるための非侵襲的治療として従来の曝露療法以上の技術がでてくるだろう。技術としてNeurofeedbackが使えるかもしれないし、Schiller et al 2010のような恐怖記憶の再固定化を妨害する方法が臨床応用できるようになるかもしれない。本当にそうなれば良いのだけれど。

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