2011年7月27日水曜日

気分はどのように感情記憶の構造に挑戦するか?

How mood challenges emotional memory formation: An fMRI investigation  2011 Neuroimage 56,3 1783-1790

実験的気分操作とfMRIは気分一致記憶の神経基盤を検討するための機会を与える。先行研究では気分障害患者において内側側頭葉が気分一致記憶バイアスに関わることが示唆されており、気分と感情記憶の構造の交互作用は検討されていない。特に気分一致効果に対して前頭前野領域がどのように関わっているかは不明瞭である。本研究ではEvent-related fMRIデザインで20人の健常者に対してHappy感情とSad感情が感情語(Positive, Negative,Neutral)の記憶にどのように影響するかを検討した。気分、刺激、記憶の主効果は気分一致もしくは不一致の記憶と関連した活動として検討された。結果からは扁桃体と海馬の活動が全体的な気分と再生率に関わっていることが示された。気分一致記憶の構造はNegative刺激の気分一致記憶にはOFC、Negative刺激の気分不一致記憶にはMFCとIFCによって特徴づけられることが明らかになった。これらの結果は学習の際の前頭前野領域の異なる部分の活動がNegative刺激の気分一致記憶と気分不一致効果に関与することを示しており、OFCが気分一致効果を、MFCとIFCが気分と刺激の感情価との間の不一致を乗り越える助けとなっていることが示唆された。

大昔、卒業論文のときに気分一致効果の研究をやっていた。何年も前なのでもはや記憶が薄れているが、後の指導教員にコメントをもらってからは、うつ病のモデルとしては理解しやすいがうつ病研究の題材としてはやりにくいと思っている。なぜなら、気分操作の効果は特性としての抑うつ群には影響しにくい上に、群の要因を加えると3要因になってしまうからである。この研究に関しては扁桃体と海馬についてもう少し突っ込んだ解析をしても良いのではないかと思う。MVPAなどを行ってそれぞれの条件における扁桃体と海馬の活動の意味を検討できるのではないだろうか。

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