2012年6月16日土曜日

うつ病における情動ネットワークのリアルタイム自己制御

Real-time self-regulation of emotion networks in patients with depression. 2012 PLoS one

多くのうつ病患者は薬物療法にも心理療法にも反応しないことが知られている。本研究では、fMRIによるニューロフィードバックを通した心理学的アプローチと神経生物学的アプローチを統合した新しい脳の自己制御技法の実現可能性を検討した。8人のうつ病患者は、ニューロフィードバックのセッションを通してポジティブ情動の生成にかかわる腹側前頭前野と島の制御を学習した。被験者の臨床症状はハミルトン抑うつ尺度で測定され、有意に改善した。ニューロフィードバックを行わない同様の認知方略のトレーニングを受けたコントロールグループでは同様の効果は得られなかった。ニューロフィードバックがうつ病の治療に有用になりうるかどうかを決定しプラセボ効果を除外するために無作為割り付け盲検試験が必要である。

内容は非常にチャレンジングだが、抑うつ症状が軽症レベルの被験者なのでニューロフィードバックに耐えうる患者しか適用できないだろう。ポジティブ情動にかかわる領域をポジティブなイメージを喚起することで活動させているため、被験者への負荷は大きい。もっとエフォートが少ないやりかたが開発できればと思うが・・・。

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