2011年8月1日月曜日

抗うつ薬の脳への影響:感情研究のメタ分析

Brain effects of antidepressants in major depression: A meta-analysis of emotional processing studies 2011 J Affect Dis

多くのPET研究によってうつ病における一貫した脳活動のパターンが特定されている。このような機能障害を表すパターンは抗うつ治療によって正常化されるとみられる。このメタ分析の目的はfMRIの感情研究を用いて抗うつ治療の後のうつ病の改善と関連した脳活動のパターンをより明確に特定することである。9つのfMRI研究とPET研究にQuantitative Activation Likelihood Estimation(ALE)を行った。抗うつ治療の後、DLPFC、VLPFC,DMPFCの活動は増加し、扁桃体、海馬、VACC、OFC、島の活動は減少するという結果だった。さらに、ACC、PCCと同様に楔前部と下頭頂葉の活動の減少はデフォルトモードネットワークの不活性化の回復を反映しているとみられた。大うつ病にかかわるいくつかの脳領域は抗うつ治療によって正常化されることが示唆された。うつ病における感情処理の神経基盤に対する抗うつ治療の影響をリファインしていくためにはうつ症状にかかわる感情課題やデフォルトモードネットワークにかかわるような自己関連づけ課題を用いるべきである。

ポジティブ感情に関連したDMPFCの活動は抗うつ薬で増加するようである。抗うつ治療といってもCBTの場合は薬と違って統制が困難であるためほとんど脳機能画像研究が無い。抗うつ薬とCBTの違いや相乗効果の背景にどのような神経基盤があるのか研究する必要がある。

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