2010年3月19日金曜日

社会不安障害における自己に対するネガティブな信念への認知的再評価の神経メカニズム

Goldin PR, Manber-Ball T, Werner K, Heimberg R, Gross JJ. 2009 Neural mechanisms of cognitive reappraisal of negative self-beliefs in social anxiety disorder. Biological Psychiatry 66, 1091-1099

社会不安障害は自己に対するネガティブな信念を持つ。このネガティブな信念は感情処理を促進し、感情の制御を妨害する。認知的再評価は自己に対するネガティブな信念を変化させ、感情の活性化を制御する目的で用いられる。しかし、この認知的再評価と社会不安障害の神経基盤との関連は明らかになっていない。27人のSAD患者と27人の健常者を対象とした。被験者は個々人にとってネガティブな社会的場面を想起させる単語を観察した。その際に、認知的再評価を行う条件と行わない条件を設けた。SAD患者は認知的再評価を行う場合でも行わない場合でも刺激に対してネガティブな感情を活性化させた。しかし、認知的再評価によってネガティブ感情を低下させることはできていた。認知的再評価により、扁桃体の活動は健常者では比較的早期に低下していたが、SAD患者ではより遅かった。扁桃体と外側前頭前野の機能的結合性は健常者では強い負の相関をしめしたが、SAD患者では機能的結合性が低下していた。この結果は、SADにおける認知的再評価の自己効力感とネガティブ感情と関連すると考えられる。

認知的再評価の脳機能画像研究はうつ病などでも行われるようになってきている。認知的再評価のプロセスについては、開始直後には感情を制御するが、それが遂行された後は制御状態を維持する過程に移行すると言われている。このプロセスは脳活動にも反映される可能性があり、それを検出するためにはEvent-related designの方が良いだろう。

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