Differential modulation of the default mode network via serotonin-1A receptors 2012 PNAS
自身の心的状態について考えを巡らすことは、生活上のイベントの自己関与度を評価したり、モラル的判断をしたり、将来を予想するための根源的な過程である。これらに関与するするデフォルトモードネットワーク(DMN)に対する関心は高まっているが、DMNの神経化学的メカニズムは知られていない。この研究ではPETとfMRIを組み合わせて5HT1AによるDMNへの調節を検討した。2つの独立したアプローチを用いて、安静時とTOL課題遂行時の膨大後部皮質の活動と局所的5HT1Aの密度が関連していることが明らかになった。一方で、5HT1Aのローカルなものと自己抑制能のものは後部帯状皮質と負の相関を示した。DMNの前頭部分は背内側前頭前野と負の相関を示した。これらの結果は、自己関連処理に関わるこれらの領域の調節がセロトニン系の神経伝達によってもたらされることを示し、5HT1AのバリエーションがDMNの活動における個人差をある程度説明することを示した。さらに、内受容的機能に関わる脳領域はとくに5HT1Aによって制御されていると考えられる。先行研究においてドーパミンやGABAの制御が報告されていることを合わせると、この局所的な特定性はDMNを駆動する複数の神経伝達物質の複雑な相互作用を示唆している。
業務上読まざるを得なかった論文だが、DMNの活動の個人差が神経伝達物質によって調節されるということは興味深い。今後はそういう方向の研究が増えそうだが、モノアミン系の神経伝達物質の機能だけでなくそれらと関わるような心理的活動とDMNがどのような相互作用を示すのかという点も研究材料になりそうだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿