2012年1月16日月曜日

情動制御の発達:児童、思春期、青年における認知的再評価のfMRI研究

The development of emotion regulation: an fMRI study of cognitive reappraisal in children, adolescents and young adults 2012 Social Cognitive and Affective Neuroscience

情動制御のために認知的再評価を用いる能力は成人において適応的なスキルであるが、その発達については知られていない。認知的再評価は線形的な前頭葉の発達によってサポートされていると考えられているので、認知的再評価の発達も線形的であると予測される。しかし、社会感情的発達の研究からは思春期に特異的な非線形的発達が示唆されている。我々は10−13歳の児童、14−17の思春期、18−22の青年を対照にネガティブな情動を制御する認知的再評価の課題を行った。行動的には情動の反応の自己評価に年齢の効果は見いだせなかったが、線形関係と二次関数関係が認知的再評価の能力と年齢に有ることを見いだした。神経活動からは、我々は腹側前頭前野における活動の増加が年齢と線形的関係に有ることを見いだした。精神状態のような社会認知に関わる内側前頭前野、後部帯仗回、前部側頭皮質の活動が年齢と二次関数的関係にあることを見いだした。これらの領域は思春期において情動反応に対する活動の低下が見られたが、認知的再評価のときには著しく高まっていた。これらのことは、1:年齢と線形的に認知的再評価に関わる納活動が増加すること、2:思春期においては精神状態の帰属に関する領域が常態ではなく、3:認知的再評価のときには逆転することを示唆している。

思春期は嵐であるということか。認知的再評価の成熟については考えたことがなかったので面白い視点だと思った。願わくば成人のデータとの比較と思春期において社会認知に関わる領域に対して影響を与える要因や別の脳領域が何なのかを知りたいところである。

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